ずいぶん前になりますが、>>368で、ブレディみかこ×松尾匡×北田曉
大の対談書『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』の読後感層を書く、と約束
していましたが、まだその約束を果たせていません。そこで、かわりといっ
ては何ですが、同書の96~98頁にかけて、財務省の洗脳を解く大事なことが
書いてあるので(と言っても、いつも私が力説している内容なんですが)、
あらためて多くの方に認識していただくために、その重要部分を引用させて
いただきます↓
------------------------------------------------------------------------------
松尾 (前略)本当は、政府がその気になりさえすれば、財政破綻を引き起
こさずに財源を確保することは簡単にできるんです。本来、ケインズ
主義政策というものは、単に不況下で人びとの職をつくるために政府
が公共投資をするというだけではないんですよね。そもそも、なぜ政
府がそんなことができるのかというお話の前提にこれがあるんですけ
ど、ひとことで言うと、財政出動のお金というのは中央銀行(日本の
場合は日銀)が金融緩和で「無からつくり出して」いるんですよ。要
するに、中央銀行がお金をどんどん刷りまくってばらまいているわけ
です。バラマキとか言うとまた印象悪いかもしれないけど(笑)。
ブレイディ 「無からお金をつくってばらまく」とかひとことで言うと、
「錬金術じゃないか?」とか言って怒られそうですよ(笑)。
松尾 少し専門的な話になりますが、詳しくお話しします。そもそも、ケ
インズ主義政策の大前提には、金本位制をやめるということがあるん
です。金本位制というのは、一円の価値が「金貨何グラム」という風
に決まっている、という制度ですね。一定量のお金をもっていくと中
央銀行が金貨と交換してくれる。このシステムの下では、たとえ紙幣
を使っていたとしても、お金の正体は金貨です。でも、中央銀行にあ
る金貨の量にはどうしても限界がありますよね。だから世の中に出回
るお金の量は、中央銀行の金貨の量にどうしても制限されてしまいま
す。そうすると「不況下でみんな困っているから、政府支出をして景
気を良くするために、お金をどんどん刷りましょう」と言っても、日
本銀行の中の金貨があまりないと刷れないんですよね。つまりケイン
ズ主義政策というのは、金本位制をやめて自由にお金をつくれるよう
になったからこそできた。これがまず一つです。
北田 はい。それで、世界恐慌に見舞われた一九三〇年代に、各国がみな
金本位制を一時的に停止しましたね。その時はあくまで緊急措置でし
たが、戦後の一九七三年に本格的に変動相場制に移行して以降、金本
位制は完全になくなっています。だから、今や各国の中央銀行は持っ
ている金貨の量に左右されずに、「無から」お金を刷ることができる。
しかし、結局政府の国債を買い取ったりして中央銀行がお金を刷って
いるわけだから、「それも借金じゃないか!」とかいう人もいますよ
ね。
松尾 ただ、国の借金というのは普通の借金とは性質が違うんですよ。た
しかに、金本位制をやめてお金を「無からつくり出す」といっても、
結局、日銀が政府の国債などの資産を買い取って、その分のお金をつ
くっているわけです。じゃあ、「この国債は借金じゃないか」ってな
ると思うんですけど、よく考えてみてください。そもそも、そのお金
はどこに対する借金なのかっていうと、民間の企業ではなくて日銀に
対する借金なんですよね。
日本の場合、大半の借金は別に外国から借りているわけではありま
せん。一応、いまの日本では、財政法第五条で、国会で特別に認めら
れた時以外は、日銀が政府から直接国債を買い取ることは禁じられて
いるので、通常だと政府が直接お金を借りるのは、民間の国内銀行か
らです。でも、最近では銀行が持っている国債を日銀が大量に買い取
ってお金を出しています。結局債券市場を一度通してから、日銀がそ
こから国債を買い取っているだけなので、間にクッションは挟んでい
ますけど、政府が日銀からお金を借りているのと同じことになります。
それでいま、国債の四割くらいは日銀の金庫の中に入っています。や
ろうと思えば、民間流通している国債をもっと日銀が買い取ることも
できます。
ここでのポイントは、実は政府の日銀に対する借金というのは、期
限が来たら借り換えをして、また期限が来たら借り換えをして……と
いう風に、永久に先送りすることが可能だということです。つまり、
事実上、好きな時まで返さなくてすむという仕組みになっているんで
すよね。当たり前ですが、これは合法ですよ(笑)。日本でもこの借
り換えということは以前からおこなっています。
もちろん、こういう風に返済期限を無限に先送りしても、国債の利
子分は日銀に払わなければいけないんですけど、日銀というのは収益
から職員の人件費などの経費を差し引いた額を「国庫納付金」として
政府に戻していますから、事実上利子がないのと同じです。職員の人
件費を普通の公務員と同じように税金でまかなっているみたいなもの
大の対談書『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』の読後感層を書く、と約束
していましたが、まだその約束を果たせていません。そこで、かわりといっ
ては何ですが、同書の96~98頁にかけて、財務省の洗脳を解く大事なことが
書いてあるので(と言っても、いつも私が力説している内容なんですが)、
あらためて多くの方に認識していただくために、その重要部分を引用させて
いただきます↓
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松尾 (前略)本当は、政府がその気になりさえすれば、財政破綻を引き起
こさずに財源を確保することは簡単にできるんです。本来、ケインズ
主義政策というものは、単に不況下で人びとの職をつくるために政府
が公共投資をするというだけではないんですよね。そもそも、なぜ政
府がそんなことができるのかというお話の前提にこれがあるんですけ
ど、ひとことで言うと、財政出動のお金というのは中央銀行(日本の
場合は日銀)が金融緩和で「無からつくり出して」いるんですよ。要
するに、中央銀行がお金をどんどん刷りまくってばらまいているわけ
です。バラマキとか言うとまた印象悪いかもしれないけど(笑)。
ブレイディ 「無からお金をつくってばらまく」とかひとことで言うと、
「錬金術じゃないか?」とか言って怒られそうですよ(笑)。
松尾 少し専門的な話になりますが、詳しくお話しします。そもそも、ケ
インズ主義政策の大前提には、金本位制をやめるということがあるん
です。金本位制というのは、一円の価値が「金貨何グラム」という風
に決まっている、という制度ですね。一定量のお金をもっていくと中
央銀行が金貨と交換してくれる。このシステムの下では、たとえ紙幣
を使っていたとしても、お金の正体は金貨です。でも、中央銀行にあ
る金貨の量にはどうしても限界がありますよね。だから世の中に出回
るお金の量は、中央銀行の金貨の量にどうしても制限されてしまいま
す。そうすると「不況下でみんな困っているから、政府支出をして景
気を良くするために、お金をどんどん刷りましょう」と言っても、日
本銀行の中の金貨があまりないと刷れないんですよね。つまりケイン
ズ主義政策というのは、金本位制をやめて自由にお金をつくれるよう
になったからこそできた。これがまず一つです。
北田 はい。それで、世界恐慌に見舞われた一九三〇年代に、各国がみな
金本位制を一時的に停止しましたね。その時はあくまで緊急措置でし
たが、戦後の一九七三年に本格的に変動相場制に移行して以降、金本
位制は完全になくなっています。だから、今や各国の中央銀行は持っ
ている金貨の量に左右されずに、「無から」お金を刷ることができる。
しかし、結局政府の国債を買い取ったりして中央銀行がお金を刷って
いるわけだから、「それも借金じゃないか!」とかいう人もいますよ
ね。
松尾 ただ、国の借金というのは普通の借金とは性質が違うんですよ。た
しかに、金本位制をやめてお金を「無からつくり出す」といっても、
結局、日銀が政府の国債などの資産を買い取って、その分のお金をつ
くっているわけです。じゃあ、「この国債は借金じゃないか」ってな
ると思うんですけど、よく考えてみてください。そもそも、そのお金
はどこに対する借金なのかっていうと、民間の企業ではなくて日銀に
対する借金なんですよね。
日本の場合、大半の借金は別に外国から借りているわけではありま
せん。一応、いまの日本では、財政法第五条で、国会で特別に認めら
れた時以外は、日銀が政府から直接国債を買い取ることは禁じられて
いるので、通常だと政府が直接お金を借りるのは、民間の国内銀行か
らです。でも、最近では銀行が持っている国債を日銀が大量に買い取
ってお金を出しています。結局債券市場を一度通してから、日銀がそ
こから国債を買い取っているだけなので、間にクッションは挟んでい
ますけど、政府が日銀からお金を借りているのと同じことになります。
それでいま、国債の四割くらいは日銀の金庫の中に入っています。や
ろうと思えば、民間流通している国債をもっと日銀が買い取ることも
できます。
ここでのポイントは、実は政府の日銀に対する借金というのは、期
限が来たら借り換えをして、また期限が来たら借り換えをして……と
いう風に、永久に先送りすることが可能だということです。つまり、
事実上、好きな時まで返さなくてすむという仕組みになっているんで
すよね。当たり前ですが、これは合法ですよ(笑)。日本でもこの借
り換えということは以前からおこなっています。
もちろん、こういう風に返済期限を無限に先送りしても、国債の利
子分は日銀に払わなければいけないんですけど、日銀というのは収益
から職員の人件費などの経費を差し引いた額を「国庫納付金」として
政府に戻していますから、事実上利子がないのと同じです。職員の人
件費を普通の公務員と同じように税金でまかなっているみたいなもの
ですかね。
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2018/08/25 (Sat) 17:38:30
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