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Channel: 桑の木窯・赤城山のうっさん陶芸工房
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日本人はもう買いたいものがないのか・mespesado(うっさんは日本製の安くて優れたケータイが欲しい)

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名目GDPと総固定資本形成(国内固定資産投資)の関係を考えてみる
http://3rdworldman.jugem.jp/?eid=210

というサイトに1955年から2014年までの日本のGDPとその内訳の推移のグラフが掲載されているのでそれを見てみましょう。
リンク先の最初の棒グラフがそれです。
そして本文ではこれを論評して
> 。名目GDPの過去ピークは1997年の523兆円でしたから、17年も前のピー クと比べてまだ▲36兆円も小さいままです。
しかし、その内容を見てみる
2014年は1997年に比べて、民間消費支出は5兆円増加、現物社会給付
>(医療・介護現物給付)は16兆円も増加、政府現実最終消費は4兆円増加 しています
すなわち国内消費項目は全て過去ピークをすでに上回って
いて全体で25兆円増加しています。
> 国内消費は増加しているのに名目GDP全体が過去ピークに比べて大きく沈 んだままなのは、総固定資本形成が▲37兆円減少し
在庫品増加(在庫投資)が▲4兆円減少し、純輸出が▲21兆円も減少して赤字に転じているからです
純輸出は、2015年以降は原油価格の大幅な低下と旅行収支の
 黒字化などによって大きく改善していますし
在庫投資の減少は必ずし も悪いことではありませんから
問題は総固定資本形成に絞られることになります。

と解説しています。つまり日本のGDPが振るわなくなった理由は「総固定資本」の減少がその犯人だ、というのです。

そうでしょうか?
 グラフを見れば明らかなように、最も大きなウェイトを占める「民間最終消費支出」が1994年ごろを境に増加率が激減しています。上の論評では
さらりと「4兆円増加しています」などと触れているだけですが
GDPの内訳の半分以上を占める民間最終消費支出が「たった4兆円しか増加していない」と言うべきで
これこそがGDP伸び悩みの一番の原因ではないでしょうか

では、なぜ民間消費の増加率が激減したのでしょうか?
それはリンク先の2番目のグラフであるGDPの「生産側」による内訳を見てください。

もう明白に、同じ時期から「生産者報酬」の伸び率が、「民間最終消費支
出」と全く同じように激減しています。

そう。簡単な話で、「給料が減ったから消費が減った」わけですね。そして消費が減れば
売り上げが減りますから企業の収益も減って、給料は減ります
また、売れないからモノの値段も下げざるを得ない。いわゆるデフレ
スパイラルですね。
さて、この「民間最終消費支出」と「生産者報酬」の推移をもう少し細か見ると
共に、1991~1993年に伸び率が大きく鈍化し
1997年に伸び率がマイナスに減じ、更に2007~2008年にかけても急激な落ち込みがあります。

それではこの1991~1993年の間、それから1997年
そして最後の2007~2008年にはそれぞれ何があったでしょう?
最初のはいわゆる「バブルの崩壊」が起きた時期ですね
ですからGDPの内訳の中の「総固定資本形成」の伸びがストップしたことがその原因です。

 次のは、バブル崩壊後の不良債権処理が続く中、アジア通貨危機と消費税の3%から5%への引き上げが引き金となって
拓銀やら山一證券やら多くの金融機関が相次いで破綻したことで
「民間最終消費支出」の伸びはストップするわ
「総固定資本形成」は減少に転じるわでGDPそのものが減少を
始めます。

 そして最後のはリーマンショックで「総固定資本形成」がガクっと落ち
「民間最終消費支出」も若干の落ち込みがあります。

 一方の「雇用者報酬」も「バブルの崩壊」で伸びが鈍り、「金融機関の相次ぐ破綻」により遂に減少に転じ
「リーマンショック」で更にガクっと落ちています。

 さて、最初にリンクを貼ったサイトでは、最初のグラフのピンクの部分である「総固定資本形成」に絞って考察していますが
ここから第2のグラフ
(生産側)のピンクの部分である「固定資本減耗」を差し引いた「純固定資本形成」を黒の実線でこれらに重ねたものが第3のグラフです

 さて、リンク先の記事ではこれらそれぞれのピークアウトした時期について触れていますが
それよりも、差し引く前の「総固定資本形成」(黄色)
と「固定資本減耗」(水色)それぞれの動向そのものに注視してみましょう。

 まず「総固定資本形成」の方は、一旦1980年ごろに伸びが止まっています
そして80年代の後半に向けて再び伸び始め、1991年にピークア
ウトしています
この2つのターニングポイントにはどういう現象があったでしょうか

 後者はすでに述べたバブルの崩壊で説明が付きますが
前者を説明するためにはバブル崩壊のような「事件」よりも
消費者にとっての経済生活環境の変化を調べた方がよさそうです
そこで、以前にも論じたことがある「耐久消費財」の普及状況を調べてみましょう↓

主要耐久消費財の世帯普及率の推移(1957年~2018年)
http://honkawa2.sakura.ne.jp/2280.html


ここには実に様々な耐久消費財の普及率のグラフが表示されています
ず「(旧)三種の神器」である冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビのうち
白黒テレビが1960年台にカラーテレビの登場によりピークアウトし
冷蔵庫と洗濯機が1970年代の前半に普及率が鈍化し始め
カラーテレビと共に
1980年ごろに普及率がほぼ100%に到達しています。
つまり、「あこがれの耐久消費財」が全世帯に行き渡った段階で必要な生産施設の拡大がこれ以上必要なくなり
「総固定資本形成」の伸びが止まったのです。
 さて、1980年代の後半にさしかかって、「総固定資本形成」は再び伸び始めますが、このとき何があったでしょう?
 これも、「主要耐久消費財の世帯普及率の推移」を見ればわかります。

 そうです!VTR(ビデオデッキ)の急速な伸びです。あとこのグラフには載っていませんが
当時は「オーディオブーム」というのがありました。

これらはそれまでに無かった新しい製品ですから、大きな設備投資が必要で、

バブル景気とともにこれらの消費が一挙に拡大したため「総固定資本形成」が増えたのだということがわかります。

 そして、悲しいことに、これらや「(新)三種の神器」のうち既出のカラー

テレビを除く車とエアコンの普及率は、遂に100%に到達することなく、

1990年ごろに70~80%普及したところでバタッと普及率が止まって

しまいました。思うに、これらは国民のうち70~80%の人しか欲しがらなかった、ということではないですよね。だって「(旧)三種の神器」の方は

100%まで普及したんですよ。その同じ日本人が「(新)三種の神器」については80%の国民しか関心が無いなんてあり得ませんw

 やはり普及が途中で頓挫した最大の理由は、その頓挫した時期にあります。

そう、1990年頃、つまり「バブルの崩壊」です。これで一挙に消費意欲が削がれ、というより「耐久消費財を買う財力」が失われ
そのまま失われた20年に突入し
満たされた消費ブームが再来することは二度と無かったのです
そうなると、設備投資は「必要ない」というよりは、消費が落ち込
んで「作っても売れない」から
以後企業は設備投資を控えるようになった。

これこそが「総固定資本形成」が1990年頃にピークアウトした原因であることがわかります
一方の「固定資本減耗」の方も、
新たな設備投資の拡大がなくなれば、
減少に転じるのは当たり前で
それが「バブルの崩壊」期間の終わりである1993年に訪れた
ということを示しています。

 一番最初のリンク先の第4のグラフとして「総(Gross)固定資産形成内訳推移」が載っていますが
これらの中で急激な減少を起こしたのは紺色の

グラフである「その他の機械設備」ですね
住宅をはじめとする建物
つまり土建業は、急激な減少ではなく、世の中が不景気になるにつれて徐々に減少しているということが
これらの内訳の推移によってわかるわけです。

 長くなりましたが、以上を纏めると、日本の景気は「(旧)三種の神器」の100%の普及で高度成長が終焉した
そしてオカネの行き先が設備投資から不動産に流れてバブルが生じ
その好景気に支えられて「(新)三種の神器」やらオーディオ・ビデオ機器が普及を始めたが
バブルの崩壊でその普及も止まってしまうほど消費が滞り
二度と復活することは無かった。
以上が統計数字から読み取れると思います。

なお、日本の経済成長率が「高度成長期」「バブル期」「失われた20年」の3段階のフェイズに綺麗に分かれることを示したグラフに参考のために
ンクを貼っておきます↓

経済成長率の推移
https://honkawa2.sakura.ne.jp/4400.html                              (続く)

784:mespesado:
2019/01/20 (Sun) 19:49:17
host:*.itscom.jp
>>777

 さて、ここまでの統計データによる分析の結果を踏まえて一番最初に取り

上げたサイト:


7つのデータで検証! 日本の衰退がひどすぎる件と衰退の原因
https://www.shameless1.com/entry/2018/09/22/7%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%A7%E6%A4%9C%E8%A8%BC_%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E8%A1%B0%E9%80%80%E3%81%8C%E3%81%B2%E3%81%A9%E3%81%99%E3%81%8E%E3%81%A6%E6%82%B2%E3%81%97%E3%81%8F


における主張:


> 日本衰退の真の原因は、「円高による製造業の海外シフトが起こったに
> も関わらず、新たな成長産業(ITを代表とするハイテク産業、サービス
> 業)にシフトさせなかった政府、経済界の失策」です。


を振り返ってみると、この主張は見当違いであることは明白です。日本のG

DPが伸び悩んでいる真の原因は、消費が伸び悩んだからであって、生産側

の責任ではありません。そして消費が伸び悩んだ原因は、直接的にはバブル

の崩壊で、それまでのような消費者が満足のいくような消費がしたくてもで

きなくなったことです。

 それでは、当時、この消費が伸び悩んだ原因を取り除くすべはあったでし

ょうか?例えばバブルの崩壊を防ぐすべはあったのでしょうか?

 まず、バブルが生じた時期に何があったかを遡ってみましょう。

 1985年、アメリカが自国の貿易赤字に歯止めをかけるため、プラザ合

意で円ドルレートがそれまでの230円台から1年後には一挙に150円台

に変えられ、輸出産業を中心に、日本は一挙に円高不況に陥ります。

 …と書きましたが、この「円高不況」というのがGDPにどの程度の影響

を与えたかというと、再び


名目GDPと総固定資本形成(国内固定資産投資)の関係を考えてみる
http://3rdworldman.jugem.jp/?eid=210


の最初のグラフを見てください。

 要素棒グラフの一番上の赤い部分が輸出と輸入の差(純輸出)です。GD

Pの全体と比較すると、この純輸出の占める割合は恐ろしく少ないことがわ

かりますね。細かく見れば、このプラザ合意までに純輸出が最大のピークを

迎えていたのがプラザ合意以降、緩やかに減少してきていることはわかりま

すが、「総固定資本形成」にも肝心の「民間最終消費支出」にも何のトレン

ド変化も与えていません。これは生産側の2番目のグラフで見ても同じです。

 そうなんです!当時の日本の企業はこんなに円高になったにもかかわらず、

業績にほとんど影響がなかったのです!

 とはいうものの、実はこの急激な円高に対して日銀は金利政策を行い、公

定歩合を大幅に引き下げ、企業がオカネを借りやすくする、という救済施策

を実施しています。そしてこれが引き金になって、金利が安くなったのをい

いことに、個人もが銀行から借金して土地に投資(というより今にして思え

ば「投機」ですが)することによって儲けようとしたために、土地の値段が

急激に上がり始め、バブルが到来したわけです。

 ところが土地の値段が上がり過ぎたために、本当に土地が必要な人が土地

を手に入れにくくなり、これを問題視した政府と日銀は、1990年に公定

歩合を今度は一挙に引き上げる、という金融政策を行いました。その結果、

銀行からオカネを借りて土地に投機しても利ざやが稼ぎにくくなり、更に追

い打ちをかけるように、1991年には土地に対する税制も強化され(地価

税法)、しまいには新たな買い手がつかず、一挙に土地の値段は暴落し、バ

ブルはあっけなく崩壊してしまいました。

 以上の経緯を見ると、いかにもバブルを崩壊させた犯人は公定歩合を引き

上げたり税制を変えた政府や日銀だ、と思うかもしれませんが、仮に公定歩

合を引き上げたり課税を強化しなかったとしても、土地の値段が無限に上昇

するわけはなく、いつかは誰も買い手がいなくなる値段にまで価格が吊り上

がればそこで土地を買いたいという人はいなくなり、バブルはやがては崩壊

する運命にあったのです。これはねずみ講と一緒ですね。

 さて、もっと言うと、実はこの段階で、バブルは終了してしまうけれども

誰も被害に合わないで済ませる方法は無くはなかったのです。

 それは、バブルで投機の対象となっていた不動産やゴルフ会員権などを、

国がオカネを刷って一旦すべて時価で買い上げてしまう、という手です。た

だ、現金で買い上げてしまうと、即刻それらが使われて流通し、ハイパーイ

ンフレを引き起こす可能性があるので、時価の額面の国債を発行して交換す

る、という方が安全かもしれません。こうすれば、国民の時価評価での財産

は減ることが無く、それによる急速な消費の冷え込みは生じなかったと思い

ます。ただ、21世紀の今日ですら緊縮財政を正しいと思っている世論が大

多数なんですから、当時の国民が「国債を大量発行してバブル崩壊を防ぐ」

なんて政策を理解できるはずがありません。「あんな不道徳なバブルで濡れ

手に粟で儲けたヤツを真似してオカネをスッた奴らを救うためにそんな巨額

の借金をする(=赤字国債を発行する)なんて、将来の人に負担を強いる最

悪の政策だ!」という世論がきっと大勢を占めたことでしょう。

 さて、話はこれで終わりません。仮に(例えば上で書いたような救済策を

使って)バブル崩壊による被害が発生しなかったとしたら、日本は不景気に

突入することが無かった、という何となく信じられている神話があります。

これは本当でしょうか。

 このことを推理するために、再び「主要耐久消費財の世帯普及率の推移」

のグラフに登場してもらいましょう:


http://honkawa2.sakura.ne.jp/2280.html


 前回も解説したように、バブルが崩壊した1991年頃、車やVTRなど

の普及が頭打ちになりました。ですから、もしバブル崩壊の被害が発生しな

ければ、これらの普及率はそのまま上昇し続け、「旧三種の神器」と同じよ

うに普及率100%に近づいたと思われます。

 ただし、その普及率を表す曲線、いわゆる「ロジスティックカーブ」と呼

ばれている曲線ですが、もしこれらの普及率が「旧三種の神器」のようなロ

ジスティックカーブを描いていたとすれば、2000年前後に100%に到

達していたようにグラフからは読み取れることになります。

 問題は、これらの家電製品が普及率100%に到達したあとの日本経済が

どうなっていたか、です。しかしそれも、このグラフから読み取ることがで

きます。

 家電の普及率は、1990年頃を境に普及率は頭打ちになりますが、その

後伸びは緩やかになりますが、少しずつ上昇はしていきます。そして、グラ

フの一番右側を見ると面白い現象に気が付きます。

 それは、普及率が最終的に90%を超えて限界に到達したグループと、最

終的な普及率が100%にならず、80%くらいのところに収斂していくグ

ループの2種類にはっきり分かれていることです。

 つまり、安価な電子レンジを筆頭に、エアコンや携帯やカラーテレビの代

替えとなる薄型テレビのような生活必需家電が前者に属するのに対して、車

や温水便座やパソコン、デジカメ、光ディスクプレイヤー、スマートフォン

などの必ずしも必需品とまでは言えない製品は後者に属しているようです。

当リンク先の記事にもあるように、車などは高齢者にとっては必需品でない

ため(これはスマホやパソコンも同じ)、普及の限界に到達したと見做すこ

とができます。

 つまり、景気の如何にかかわらず、必需品というものは、最終的には欲し

い人は手に入れているのです。高度成長期のような好景気は、家電のような

耐久消費財の普及過程でのみ生じるのであって、普及しきってしまえば好景

気も終了してしまうのです。電気洗濯機などは普及しきるまでに20年を要

しました。ところが最近登場したスマートフォンなどは、わずか5年で上限

まで普及しきってしまっています。技術の進歩と価格の低廉化により普及ま

での期間は短くなってしまったのです。ですから過去のような長期にわたる

高度成長が続くという時代は二度と来ないし、「土地の値上がり神話」が崩

壊した今日では土地に限らず「値上がり神話」自体が崩壊し(仮想通貨がい

い例です)、今後は「バブル景気」も来る見込みがありません。

 さて、上でさりげなく「景気の如何にかかわらず、必需品というものは、

最終的には欲しい人は手に入れているのです。」と書きましたが、これは日

本だけの特徴と言ってもよいでしょう。例えば中国における家電の普及率を

見てみましょう:


http://blog.nihon-syakai.net/blog/2014/08/3777.html


リンク先の最初のグラフを見ると、洗濯機、冷蔵庫、カラーテレビ、携帯電

話などは2003年頃に普及率が100%に到達しているように見えます。

ところが注をよく見れば、「02年以降都市部の全世帯対象」とあります。

つまりこれは都市部だけの統計であり、3番目の図である「図表4」を見れ

ばわかるように、2008年においても農村部における家電の普及率は都市

部の半分にも満たない場合が多いわけです。これではまだまだ普及率が増加

する余地はいくらでもあり、中国は現在でも高度成長下にあると言っても言

い過ぎではないでしょう。

 つまり、日本は諸外国のような意味での「絶対的貧困層」が無く、必要な

耐久消費財は瞬く間に全家庭に普及してしまうため、最早高度成長の余地が

無い…。このような、消費者の満足度という観点では紛れもなく世界一で良

いことだけれども、こと経済成長率という観点から見れば「これ以上成長が

望めない」という負の面があることも確かなわけです。

                              (続く)

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